2018-02-09
不動産屋はみんなウソつきの演者!?
マンション査定に来てくれた4件目の不動産屋さんから、「不動産屋はどんないい人に見えても、みんな基本ウソつきです、だまされちゃわないように」と聞いてから、これまで来てくれた方を「そうなのか」と観察するようになった。
え、あの最初に来てくれた、実直を絵に描いたようなベテラン営業マンも?
「ここ、昨年末中国人にHマンションを買い負けたお客さんにちょうどいいんじゃない?」って話し合っていた、男女ペア営業も?
とくに女性は色白ぽっちゃりのかわいい方で、澄んだ瞳で「うちにお任せください」って言ってくれてたよ。
独立して地域密着で頑張ってるって不動産屋さんは、声がソフトですごく話しやすかったし。
「業界人はみんなそう。いや、ウソつきって言ったら、語弊あるな。“演者”“役者”なんですよ。お客さんの前では別人。僕も入社したばかりの頃はびっくりしましたから」
「見込み客なんて…、いくらでも社員をサクラに仕込めます」
…業界ウラ話に、私は身構えた。
無知で弱者な私 vs 狡猾な不動産屋さん、の構図があったかに見えた。
しかしー
落ち着いてくると、違和感があった。
はたして、演者はだれなのかー
私があえて伝えない売却理由
私がここを売って引っ越したい、と思ったわけは複合的なものだ。
①故郷でひとり暮らしをする母の足腰が弱くなっており、いつでも母のところに行ける準備がしたい。
②ここは築年数が経っていて、今後工事計画など管理を必要とすることが増えるだろう。
③だけど、世帯数が少ないうえ高齢の方もいて、任期が来ても役を降りられない感じ。
④管理組合の活動すべてにヒステリックに反対する、モンスター住人がいる。
不動産屋さんには、①~③のことは伝えたけれど、④ついては触れていない。私の主観だし。「モンスターみたいな方いますか?」と直接聞かれたわけじゃないし、と。
だけど、これこそがここを去らねばならないと感じている最も大きな要因だった。私は、正直ババ抜きでババを持っているような気分なのだ。だれか、引いてくれ。
もちろん不動産屋さんは管理組合のヒアリングもするから、すでに知っているのだろう。
でも、私は、しれっとしている。
内覧の方がいらしても、にっこり笑って会釈するくらいだろう。
演者は、はたしてだれなのか。
もしかしたら、未来の私の住まいの売主さんも、私のような思いで買主となる私を待っているのだろうか。
仕事のためならウソをつくキャリア
思いを巡らしていったら、若かりし自分を思い出した。
当時もフリーランスで働いていた私は、時々「ミステリーショッパー(覆面調査)」という仕事を請け負っていた。
お客のふりをしてお店に行き、その店の見せ方や接客を調査してレポートにまとめるというものだ。対象となるのは高額商品を扱う店が多く、店内のヴィジュアル面での見せ方から、接客員の服装、言葉遣い、トイレの美しさまで、しっかと見てまとめる。
私の役は、商品知識に乏しい30代の独身女性。買わせようとプッシュする販売員と、買いたいそぶりを見せながら観察する私。
いずれが、きつねか、たぬきか。
ある調査後、夜自宅に戻った時には玄関ドアの前で販売員が「今日決めてもらおうと思って」と待っていた、その仕事熱心さにびっくりした。(見積もりまで取ってもらうこととの指令で、住所も氏名も書いてきていた)
その仕事で、私はクライアントからはそこそこの評価を得ていた。
そう、私は「仕事のためならウソも平気な演者」という意味では、キャリアが長かったのだ。
ACIMをやるずいぶん前から、そういう仕事は自然となくなっていったが。
はたして、今回だれが演者なのかー。
「自分の兄弟の中に見るものは自分自身にほかならない」
ACIM的に見たら、話はまったくちがってくる。
全部、全部がつくりもの。
私はエゴ・テーマパークの「マンション住み替え」アトラクションに興じるひとつの体にすぎない。キャストの不動産屋さんは、十分な訓練も受けていてまるで本物のお城を案内してくれているようだ。
私はすっかりアトラクションに魅了されており、家に帰ることを忘れている。
今朝は、レッスン174で、レッスン157、158の復習。本文には
「自分の兄弟の中に見るものは自分自身にほかならないということを覚えてさえいれば、このレッスンも習得するのは難しくない。」(L355-10-2)とある。
…、みんな私のひとり芝居なのか。
いったいだれが演者なのか。役からおりたら、だれになるのだろう。またちがう役を演じるのかな。貼りついた役はいくつあるだろう。
自分ははたしてだれなのか。