2019-08-17
「桑田の子どもって何しとるが?」
私の母は83歳。歳にしては好奇心旺盛だ。
私とちがって外交的で、政治のこと、歴史のこと、芸能人のこと、スポーツのこと…、何でも関心がある。そして頭に浮かぶままにしょっちゅう私に質問を投げる。
私はわかる範囲で答えたり調べたりする。
母:「(野球の)桑田の子どもって今何しとるが?」
私:「さぁ?息子時々バラエティに出てるよ。」
母:「まじめな子じゃないがけ?」
私、、、ん?
マットを思い浮かべ、「まじめ」かそうじゃないかを考える。
う~む。わからん。その範疇を超えてる。
百聞は一見に如かず。iPad miniで「マット」を検索して母に見せた。
母:「あいや~、あいや~。桑田に全然似とらん。」と唖然。
「この子、血通ってないみたい、陶器でできとる人形みたい。あいや~、なんでこうなったんけ?」と驚くことしきり。
私:「さぁ?美容に関心あるんだって。」
母:「あいや~」
「日曜美術館」を見ながらノートをとる母
母は几帳面な性格でもある。
父が入院して一人暮らしになってから日記のようなものを付けている。もう14冊めに入ってるとか。
その日記には、その日あったことの他、テレビの健康情報や世の中の出来事など母のアンテナにかかったことは何でも書いてあるらしい。
また、お気に入りの番組「日曜美術館」「ブラタモリ」「百年名家」は、テレビを見ながら新聞チラシの裏にノートを取り、それをその日の日記に清書しているという。まめだなぁ。
書くだけだけじゃなくて、気になった新聞の切り抜きもたくさん貼っている。入りきらない大きな紙面は、ノートの裏表紙にビニール袋を張り付けそこに入れている。
ノートは日記だけじゃない。
週に一度お茶のお稽古に行っていて「お茶ノート」や「俳句ノート」もあった。
そして、お茶ノートには知りたいことが検索しやすいようインデックス帳も作ってあって、ノートのほうには付箋がつけてある。
私が帰省したときは、別のノートに「日曜美術館」の内容をもう一度遡れるよう、何日にどんな内容を放送したかの見出し一覧のようなものをせっせと作っていた。
あ、これ、エバーノートだ!
私はそれを見ながら、なんかに似ているな、と思った。
そうだ、Evernoteだ!
Evernoteの存在は先月教えてもらった(7月23日日記)。
「ノートアプリ」「データベースアプリ」で、テキストノートだけでなくWebページ、画像ファイル、音声ファイルなどなんでも取り込めるという。うまく使えば、自分の第二の脳のように使えそうだ。
でも、その前提として自ら記録しようとする気持ちが必要で、加齢で弱った私のアタマでは新しい道具を使いこなすの無理かもなぁ、と思っていた。
母はパソコンもインターネットもなかった世代だし、インターネットもものすごく気合を入れないとできない。母の検索はもっぱらネットじゃなくて電子辞書だ。
だけど、
日記をつける、
テレビ番組のノートをとる、
Webページや画像、音声データではないが、新聞記事や広告を切って貼る、
などして、お手製のアナログ・エバーノートを作っているのだ。
基本的に時系列で並んでいるけど、「検索機能」はやはり本家Evernoteには格段に劣る。
それをお手製インデックスや付箋でカバーしている…
母が若い頃Evernoteを知っていたら、ガンガン使いこなしていたかも?
歳というより、やる気。関心のあるなしだな~と感心した。
時代遅れの道具しか使えなくても、それを使って愚直に自分流でやればいいのだな。
お手製エバーノートは読み返すと、「今ではすっかり忘れている有益情報」が書いてあったりして、「おもしろい」らしい。
これは私にとっても、プライスレスな家宝みたいなものかなぁと思う。ノート作りに励む母、その生きる気力にちょっぴり安堵した。