中年の転機-私の場合(中)

2019-11-30

中年の転機-私の場合(前)のつづき

ふとした思いつきから、惣菜店開業

私が開業した惣菜店は、自宅から7分くらいの小さな商店街の中にあった。

新築ビルの1階。店舗面積わずか5坪。売場も厨房も併せて10畳くらいだ。対面式のケースに、おにぎり、サラダ、煮物などを置いてスタートした。

スタッフは、私と若い20代前半の女性。アイドル並みにかわいい女のコだった。

お店をオープンさせるまではとてもワクワクした。

ただ、当たり前だけど、初めての食品製造販売業はなかなかハードだった。なんたって自分家の夕食づくりさえやっとだったのに、勢いだけでやっちゃったもんだから。

そして、“想定外”のことだらけだった。

やってみたら、思いがけないことだらけ

まず開業ちょうど10日目に、泥棒に入られた。店のアルミドアがカナノコでコの字型に破られ、当時まだ慣れず深夜まで仕込みをしていた私はあろうことか現金を店に残していたので、それを盗られた。警察の方によると外国人窃盗団が出没していたとか。おそらく素人の商売で、目星をつけられていたんだろう。

弁当(イメージ)

それがスタートで、その後品ぞろえがその立地のニーズと微妙に合わず売行き不振だったこと。素人の開業を心配した仕入先が「様子見てやって」と送り込んだコンサルタントの方の指導で、お弁当の販売をスタートさせたら、急に“人気店”になったこと。

すごく忙しくなるも、アルバイトさんが遅刻や無断欠勤をしだしたこと。これは「手作り惣菜店」では致命的。商品が揃わないと店が開けられない。そのピンチの状況を、上の階に住んでいた大家さん宅の若奥さんが、助っ人として来てくれ幾度となく救ってくれたこと。結局、そのアルバイトさんには辞めてもらうことに。

弁当作りの忙しい時間帯に手が足りなくなりスタッフを増やすこと。夜の時間のスタッフも増員。

隣に大手惣菜チェーン店が出店してきたこと。

これはすごいピンチだったけど、品揃えと販売方法を工夫したら(お弁当は規格品じゃないから)思いのほかダメージはなかったこと…などなど、短い期間にいろんなことがあった。

で、頑張っているときには充実感があった。

が、開業1年過ぎてすこーしだけ落ち着いてきたころから、私のモチベーションが下がり憂鬱になった。

お店はイベントごとじゃない。当たり前だけどずーっと続けるものだ。

ようやく軌道に乗ったというのに、自分が何でやっているんだろう、とわからなくなった。

深夜テレビの心理テストで気づいたこと

ある夜のことを覚えている。いつものように深夜疲れて帰ってソファに横になってたら、テレビで“夜の心理テスト”なるものが始まった。

「どうぶつ村の選挙でうさぎさんが落選しました。その理由はなんでしょう?」

(よかったら、ブログを目になさった方も答えをイメージしていただけたら。。)

私はテレビに向かって投げやりに言った。

「うさぎは、理念がなかったんだよ」

「さて」とテレビの声。

「この問題は“今のあなたの仕事における問題点”です」

え゛…?

思わず、体を縦にしてソファに座り直した。

 

え?

理念がない??理念がない!?理念がない!!

周りから見たら、一目瞭然なのに、心理テストに教えられ、やっと気づいた。

私には、惣菜屋をやっている理念がない。

そう、私は店を開くことに惹かれてただけだ。

何ともまぬけだが。そのとおり。

(「後」につづく)

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