小さなこころ旅 ③

2018-11-05

「ふくろうの森」カフェへ

秦野市市営の無料足湯では、常連さんの会話に「ふくろうの森」というワードが飛び交っていた。

お店かなにかかな?

聞いてみると、近くにあるカフェらしい。音楽をテーマにしているとか?

ちょうどどこかでお茶でも…と思っていたところ。行ってみることにした。

ものの3分。小さな建物の2階だった。勝手に広い空間を想像していたけど、イメージとはちがってた。

中は狭めで薄暗くて、小さなこんもりとした森の感じと言えなくもなかった。

中には女性の店員さんの知りあいと思しき男性客ひとり。

店員さんにオリジナルブレンド薬膳茶をおすすめされた。

 

オリジナル薬膳茶を処方してもらった

カルテみたいな紙に体調についての項目が並んでいる。気になるものにチェックを入れていくと、それに合わせてブレンドしてくれるのだという。

なんだか、マジカルなお店だな、と思った。店員さんはたおやかできれいな顔立ちの方で、見た瞬間「あ、魔法夫人だ!」と思った。(魔女っぽいけど、和風だから、魔法夫人)

彼女が、私用に調合してくれたお茶は、

  • ローズピップ
  • ゴジベリー
  • はすの葉茶
  • 金銀花
  • 蓮芯茶
  • よもぎ
  • 胎菊花
  • くこの実

のブレンド。なんだかえらいゴージャスだ。浄化やリラックスの効果があるらしい。

まほう屋さんで、まほうの飲み物を出された気分だった。

一口いただくと、ローズヒップの味なのか甘酸っぱい。

そして心と体にふっと何か広がる感じがした。

自分にキャッチフレーズを付けて発信すると

男性客が店を出て二人きりになってから、彼女と話しこんだ。

この店は、オーナーが別にいて、店員さんは曜日ごとに変わるのだそう。彼女は、水木の担当だという。

去年、高給だった渋谷のアパレル会社を辞めて、鶴巻温泉に引っ越して来たこと。

この店は明日でちょうど開業一周年だということ。

年末年始に11日間のヴィパッサナーの瞑想合宿に申し込んだこと、などなど、聞いた。

おもしろいなと思ったのは、

大量生産大量消費志向だったアパレル会社が合わなくなったと感じ、不安もあったけれど、衣食住のなかで日本古来のよいものを追求したい考えと、自分に「旅する発酵料理家」というキャッチフレーズをつけカフェ店員の傍ら、この一年活動してきた。

そうしたら、いろんなものが回転し始めて、知り合いも増えて発酵やアートなどのワークショップなどの依頼も増えてきた。自分らしさを追求してきた活動が具体的なかたちになってきた、と彼女が話してくれたこと。

「『くみあわせ』だと思んです。」と彼女。

発酵に興味があり、料理にも関心があり、それで衣服のデザイナーの経験があって、古民家にも関心がある。そういうものを全部組み合わせて、自分なりの発信をした。それが唯一無二のオリジナルとして育っていると。

「この一年、リスクを取って、自分が何者かを名乗ってきてよかった。手ごたえを感じているんです。」

私も“発信”したいのだ

彼女の話を聞いて、キャッチフレーズを付けて自ら発信するというスタンスが、私に欠けているものだと感じた。彼女がそういうのもありだよ、と見せてくれた気がした。

自分につけたいキャッチフレーズ―、私だったら何だろ?

「旅する『奇跡講座』学習者」かな?それじゃあ当たり前すぎるか、旅もしてないし。

一見抽象的で難解な『奇跡講座』とこの世の日常生活をつなぎたいという思いがある。それは、楽しいことや美しいことを通じてできたらいいと思う。

思っているだけじゃ、人生終わってしまう。

そう、私も彼女のように“発信”したいのだ。

それを確認する旅だったのかな。

家路に着く頃には外はもう暗くなっていた。駅のホームから燃えるような夕焼けが見えた。

たった6時間位だったけど、けっこう遠くまで行けた。

なんか背中をだれかに押された気がした旅だった。

 

 

小さなこころ旅 ②

2018-11-03

月曜、バイトの面接に行くことに

11月1日慌てて、ささやかな一日旅に来たのには、もう一つわけがあった。

月曜日バイトの面接に行くことになったのだ。

31日ネットの求人サイトで家の近くの募集を目にして、ポチっと押してしまった。そしたらその日のうちに、月曜日に面接にいらしてください、というメールが。

フリーランスの仕事がここ数年で減少、それをそのまんまにしていたことは前にもブログに書いたと思う。

複数の依頼先の仕事をこなすのは難しくなっていたし、仕事でACIMワークが中断することが何度かあって、時間ができたことを喜んでいた。そして気づけば無職状態に。印税とかたまーに昔やった仕事の収入が入るけどほぼ無収入。

今年はマンション住み替えの(プラスの)差額が思いのほか出て、それを使いながら生活している。これを食いつぶす前に、在宅で何かできる収入の得方はないか、と思いつつ、工夫や試行錯誤ができず形になっていない。

まぁ、生きられるうちはいいや、と、やりたいことだけやって自由を楽しんでいたのだ。

それが、面接!?

今の時代は、電話も要らず、ポチっとするだけでいいから身構えなく応募できる。

会ってくれるというありがたさと、キンチョーと。

週3日のアルバイトとはいえ、私に務まるんだろうか。気力、体力なし。いまやすっかりわがまま放題で、協調性もトボシイ。

面接こわい。もし、もし、勤務することになったら…

そういった諸々のキンチョー感から、心のプチ旅なら今!と思って、翌日空を見上げて、飛び出して来たのだ。

学生時代の町に行けば、自分が好奇心とやる気と人生に対する期待感に満ちていた、そのカケラを感じられるかと思ったけれど、年月が経ちすぎたためか、見つからなかった。

その頃の自分は、もはや自分じゃない、前世のようだ。

鶴巻温泉の足湯でじんわりあったまる

そして、近場で手軽に旅気分が味わえるところ、というので、鶴巻温泉の足湯へ。

秦野市の市営で2年前にできたらしい。大人10人くらいが入れるスペースで、女性ばかり4,5人入っていた。

靴下を脱いで入口で足を洗ってから、長めのスカートをたくしあげて、そろそろ足を入れる。

あったかーい。

温度は少し高めかな、あとで調べたら40℃とのこと。

は ふぁ~、気持ちいい。

10分も入っていたら、額にはじんわり汗が。ふらっと来てあったまっていけるこんな足湯ありがたい。

私が来る前からおいでで、出てもまだ入っておられた83歳だというおばあちゃまが「私、人見知りでね…、この前足がつってね、この温泉で治ったの」と来る人来る人に同じ話をくりかえしていた。

向かい側に入っていた、これまた常連だという女性が、にこっと笑って目配せした。

秋の平日の3時すぎ。なんか平和だ。

(小さなこころ旅 ③へつづく)

小さなこころ旅 ①

2018-11-02

秋晴れに誘われて、こころの旅

きのう、旅に行った。一日だけの小さな旅。

だれかがどこかに行ったという話を見聞きするたび、私もどっか行きたいなと思っていたのだ。

10月は、お盆帰省時の交通費のカード引き落としがあったり固定資産税の支払いがあったりと出費が多くて、1日だけとはいえ出かける気になれなかった(幻想!)。

そしてきのう11月1日。

空はぴっかーんと秋晴れ。

時計は11時。

いつも以上にトイレが近くて体調はイマイチすぐれないけど、すべてが万全に整うのを待っていられない。まごまごしてたらお昼になってしまう。

…、で、外へ。

行き先は、自分が18、19歳と短大時代2年間住んでいた神奈川県の町。新宿から約1時間だ。

別のところでもよかったんだけど、新しい場に行くのは緊張する。観光目的ではなく、少しだけ非日常気分を味わいたい、という気持ちだったから。

ビア&カフェBERGでランチ

まずは新宿駅で腹ごしらえ。

東口にあるビア&カフェBERGへ。

お昼時だし立席しか残ってないかと思っていたけど、すんなり座れた。いっつもすごい混雑で中に入るのも大変だったのだが、人の流れが変わったかな。

頼んだのは、一日限定30食?のエッセンセットに自然卵のゆで卵つけて。(842円+57円)

ずっと行きたくて行けてなくてイメージが先行し過ぎてた。コ―フンして、味がよくわからなかった。もっとゆっくりいただけばよかった。

健康志向のためか味が薄くなりすぎてたような。レバーパテはおいしかった!

始発列車の列に並んで、席に着く。

『神の使者』は何度も再読しているけど、こころの旅のお供はやっぱりこれ。分厚い本を開いて読み始める。

ゲイリーの家にいきなりアサンディッド・マスター、アーテンとパーサが現れて…30分位読んでいたが、

気づくとゆらゆら心地よい揺れを感じながら、うとうとしてた。

少しずつ緑が増えてきて、40年近く前に住んでいた町に着く。

学生時代の自分を訪ねるタイムトラベルでもあったが

初めて、母からの過干渉を離れてひとり暮らしを始めた町。初めてアルバイトをしたり、初めて男の子と二人で出かけてみたり。

これから自分を生きるんだ~、と高揚していた時代。ここに来たのには、そういう若かりし自分のカケラを見つけてみたくて、というのもあった。

駅前のシンボルだった魚屋さんが消えていた。

私のアパート(コーポ)はまだあった。屋根とドアはカフェオレ色に塗りなおされていた。

アパートから少し上った一面りんご畑だったところには家が並び、なぜか柿畑になっていた。それにしても空が澄んでいる。

衣料スーパーの前には、10円入れて動く子どもの乗り物があり、店頭ではお皿50円で売っている。“昭和感”が半端ない。もうすぐ平成も終わるけど。

なつかしいけれど、私の記憶力が悪いのとあまりにも日が経っていて、そこまでの感慨はない。

思えば…50代も後半。やっぱりえらい遠くに来ちゃったんだ、私。

18歳当時の私が、やが~ておばさんになった私が自分を訪ねてくると知っていたら、ちょっとしたホラーだな、と思った。

当時は自分が年を取ることを考えすらしなかった。

そして、『神の使者』に出会い『奇跡講座』のワークを始めてからは、あれもこれも、幻想…。

町をぐるっと回ると、小一時間でもう行くとこはなくなった。

で、となりの駅に無料の足湯ができたらしいことをネットで見て、行ってみることにした。

(小さなこころ旅 ②へつづく)

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