“世界一美しいスタバ”と、よろこぶ母によろこぶ私

2018-05-17

母と半日旅行

富山の実家で必要な手続きを終えて、東京に戻る日に母と出かけた。

行き先は、県庁所在地の富山市。所要時間4時間ほどだが、気分は旅行だった。

向かったのは、富山環水公園。美術館は休館日で、公園脇のイタリアンの店でピザのランチを食べ、“世界一美しいスタバ”とも言われる、スターバックス富山環水公園店でお茶をして帰ってきた。

母はなぜかスタバが大のお気に入りだ。「スターバックス」という名前が覚えられず、「スフィンクスみたいな女の人のマークの店」と言って、東京に来た時も行きたがる。

代官山のスタバでの母

前に母が上京したときは、代官山のスターバックスに寄った。店内がひどく混み注文にも長い列ができていたが、母は待っても飲みたいと言い、私が注文するのを柱の傍で待っていた。

15分位待たせただろうか。ようやく私がトレーにコーヒーを乗せて戻り母を探したら、若い人が大勢行きかうなかで、肩を小さくして不安げに立っていた。

私にとっては、怪獣より怖かったモーレツ母が、その瞬間愛しすぎて悲しくなった。

私は年を食っても大人になりきれず、いつまでも甘えているが、母はもういたわるべきお年寄りだ。その認知のギャップが、頭ではわかっているつもりなのに、未だに埋められない。

ダークモカフラペチーノに母よろこぶ

この日は富山も暑かった。「ハイカラなもん、わからんから、何でもいい」と注文を頼まれたけれど、わからないのは私も同じ。私はスタバでも「ホットコーヒー」しか頼んだこと、ないんだ。

でも、ここは、頑張っておしゃれで冷たくておいしそうなやつ、と思い、ダークモカチップフラペチーノと今年の新作チョコレートベリーマッチフラペチーノを頼んだ。母はダークモカチップフラペチーノをチョイス(写真:母は若い頃から髪が薄く、ずっと黒髪の鬘をかぶっている)。

おいしい…

と、母は大喜び。

私もフラペチーノって、こんなにおいしかったんだ、と遅ればせながら認めた。

池に面したテラス席には、外人の男性グループの方がサングラスをしておしゃべりしていて、絵になるな~と思った。

“世界一美しい”とのうわさに期待が膨らみ過ぎて、美しさは「そ~でもないかな」と感じた。

けど、母がおいしい、来てよかったと言っていたのが、うれしくて、私にとっては、“世界一ハッピーなスタバ”だったかな、と思う。

筋金入りのマザコン!?

今回の帰省には、図書館の予約本の順番がちょうど来て、オードリーの若林著のエッセイ表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬を携えてきた。

若林さんが、本の中で自身のことを、"筋金入りのファザコン”だったと告白していた。それが新鮮だった。

そして、はたっと気づいた。

私、もしかして筋金入りのマザコン!?

「マザコン」「ファザコン」という言葉は異性の親に使うのがポピュラーで意識していなかったけど、私が母に持つ少しねじれた複雑な感情こそ、コンプレックスにちがいない。

それは、ACIMでは「特別の関係」と呼ばれるものだ。いずれこの関係からは卒業しなければならない。

だけど、うれしそうだった母とスタバからの水辺の風景は、やっぱりしばし心の宝物にしておきたいと思う。